朝目 誰も、追いつけない。

朝目 誰も、追いつけない。

朝目にとことんつきあうページ

たくさんの星が流れ、その一つが雲を突き抜けて地上に接近する。
下には大きな湖・・・

朝、目が覚めると、なぜか泣いている。

そういうことが、時々ある。


見ていたはずの夢は、いつも思い出せない。

ただ・・・
ただ・・・なにかが消えてしまったという感覚だけが、目覚めてからも長く残る。

ずっと何かを・・・誰かを・・・探している。


そういう気持ちに取り憑かれたのは、たぶんあの日から。

あの日・・・星が降った日。

それはまるで・・・


まるで、夢の景色のように、ただひたすらに

美しい眺めだった。


RADWIMPSの「夢灯籠」が流れ、そしてタイトル。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−

携帯のアラームとバイブが鳴っている。

「うーん・・・」

タキくん・・・瀧くん・・瀧くん・・・覚えて、ない?

「名前は・・・三葉!」


「はっ!」

目覚める瀧。
しかし、起きるとそこは見たことのない部屋だった。

ボーっとする瀧は、パジャマの内から胸の谷間が見え・・・

「ん?・・・」


自分の胸に触り、思わず揉んでしまう・・・

「んんー??」

「んー・・・んー」


そこに、妹四葉が襖を開け、「お姉ちゃん、何しとるの?」

「いや、すげー本物っぽいなって思って・・・え?・・・お姉ちゃん?」

自分を指さし

「なに寝ぼけとんの?
 ご・は・ん!
 はよ来ない!」

そう言って襖をピシャリと閉めて行ってしまう。

気だるさが抜けない。


「う〜ん・・・」

それでも訳のわからない瀧は、パジャマ代わりのワンピースを脱いで姿見の前に立つ。
そこには、上半身裸の見知らぬ女子の姿が映っていた!


「え?ええええええええっ??」


そう、この時初めての入れ替わりが始まっていたのです。

飛騨の山奥に住む宮水三葉の身体に入り込んでいたのは、東京に住む男子高校生の立花瀧・・・



「おはよう・・・」

「お姉ちゃん、遅い!」

「明日はわたしが作るでね」

しかし、この後階下へ降りた三葉は元の三葉でした。

つまり、、、


朝目覚めて自分の姿が見知らぬ女子であることに愕然とする・・・立花瀧


この間に1日が経過しているのです。

三葉が階下に降りて祖母と妹と朝ご飯を食べます。

繋がった場面ですが、ここが新海監督のトリックです。
この後も、こうした時間軸の切り替わりが何気ないシーンで行われます。
初見だけではなかなかわかりづらいところもあるので、二度見は必須の映画かと思います。

炊飯ジャーを開け、ご飯を盛りながら

「食べ過ぎか・・・ま、いっか」

そう言いながら座ると、

「今日は普通やな」と祖母の一葉

「昨日はヤバかったもんな」妹の四葉にも言われ

「え?ちょっと何?」

この時、「皆さま、おはようございます。町役場から朝のお知らせです。来月から行われる糸守町町長選挙について・・・」町内放送が流れると、祖母の一葉はスピーカーの電源を切ってしまいます。
そして、三葉はテレビを点ける

『1200年に一度という彗星の来訪が、いよいよひと月後に迫っています』

アナウンサーが伝えます。

「いい加減仲直りしないよ?」四葉


「大人の問題!」


そして、四葉と一緒に一緒に三葉は家を出ます。

「「行ってきまーす」」

「しっかり勉強しといでー」と四葉

四葉と別れて高校への道を歩いていると

「あ、みつはー!」


「おはよ。さやちん、てっしー」

後ろから声をかけたのは自転車を漕ぐてっしーこと勅使河原克彦と後ろに乗ったさやちんこと名取早耶香です。

「お前、早く降りろ」てっしー

「いいやん、けち」早耶香

「重いんやさ」

「失礼やな!」


「あんたたち仲いいなぁ」

「「良くないわ!」」

声が揃う。
それを聞いて
「ふふふっ」と笑う三葉。

「三葉、今日は髪ちゃんとしとるな」早耶香に言われ、

「え?なに?」

「そうや、ちゃんとおばあちゃんにお祓いしてもらったんか?」てっしーにも言われ、

「お祓い?」

「ありゃあ、絶対狐憑きや!」

「はぁ?」

「あんたはもうなんでもオカルトにしんな!三葉はストレス溜まっとるんよ。なぁ?」

「え、ちょっと、なんの話?」

「何ってお前・・・」

そして、町長選挙演説をする現町長の父宮水俊樹に遭遇します。

「そして、何より集落再生事業の継続、そのための町の財政健全化・・・」

「どうせ今期も宮水さんで決まりやろ」
「相当撒いとるしなぁ、ここだけの話」


そこでクラスメイトに出会います。

「おう、宮水」


「おはよ」

「町長と土建屋はその子供も仲ええなぁ」

すると、父に「三葉!胸張って歩かんか」と言われてしまいます。

「身内にも厳しいなぁ」
「さすが町長や」

そんな町民の言葉が聞こえてくる

「恥ずかし」
「ちょっとかわいそう」

心にもないことを言うクラスメイトたち・・・


「こんなときばっかり・・・」

三葉は胸が詰まります。



「んー??」

授業中、ノートに書かれた、お前は誰だ?の文字に首をひねる三葉

黒板に「
誰そ彼」と女性教師が書いていく

「たそ彼、これが黄昏時の語源ね。黄昏時はわかるでしょ?」

「夕方、昼でも夜でもない時間。世界の輪郭がぼやけて、人ならざるものに会うかもしれない時間」

逢魔が時」と黒板に書かれている。

「もっと古くは「
かれたそ時」とか「かはたれ時」とも言ったそうです」

彼誰そ
彼は誰

と書く。

「しつもーん。それって
かたわれ時やないの?」

「かたわれ時?それはこのあたりの方言じゃない?糸守のお年寄りには万葉言葉が残ってるって聞くし」

「ど田舎やもんなー」


この「
かたわれ時」がこの映画のキーワードにもなります。


お前は誰だ?

「うーん・・・」

再び謎の書き込みを見る

それに気を取られていると不意に名前を呼ばれます。

「じゃあ、次、宮水さん」


「あ、はい!」

慌てて立ち上がると

「今日は自分の名前覚えてるのね」

と言われ、クラスメイトがどっと沸く。


「ん?」首をかしげる三葉。


休み時間

「覚えとらんの?」早耶香

「うん・・・」

「あんた、だって昨日は自分の机もロッカーも忘れたって言って、髪はぼさぼさで寝ぐせついとったしリボンはしとらんかったし」

「えええええ?うそ、ほんと??」

「なんか、記憶喪失みたいやったよ」

「うーん・・・ずっと変な夢を見とったような気がするんやけど・・・別の人の人生を見とるような・・・よく覚えとらんなぁ・・・」


「わかった!それって前世の記憶や。エヴェレットの多世界解釈に基づく、或いはマルチバーストに無意識に接続して・・・」

「あんたは黙っといて!」


「あー、てっしー、もしかしてあんたががわたしのノートに・・・?」

「え?」

「あ、ううん。なんでもない・・・」

「でも三葉、昨日はマジでちょっと変やったよ?もしかして、どっか体調悪いんやない?」

「うーん、おかしいなぁ。元気やけどなぁ」

「ストレスとかやない?ほら、例の儀式もうすぐやろ」

「あぁ!もう言わんといて―」と頭を抱える三葉。

「もう私この町嫌や〜〜〜狭すぎるし濃すぎるし!さっさと卒業して早く東京行きたいわぁ」

「ほんとに何もないもんなぁこの町・・・電車なんか二時間に一本やし」
「コンビニは9時に閉まるし」
「本屋ないし
 歯医者ないしな」

「その癖スナックは二軒もあるし」
「雇用はないし」
「嫁は来ないし」
「日照時間は短いし」

2人の愚痴を聞いていたてっしーが
「お前らなー!」

「「なによ」」

「そんなことよりカフェにでも寄ってかんか?」



「「えー!!」」
「「カフェ??どこー??」」


目を輝かせる早耶香と三葉

ガタン

自販機から缶コーヒーが落ちて出る

「こんにちは」

見知ったおばさんが声をかける。

「「こんにちは」」

「なにがカフェやさ」早耶香

「この町にそんなんあるか」てっしー

「三葉帰ってまったやろ
 あの子も大変やよね」

「まぁ三葉は主役やからな」

「せやな・・・」

「ねぇ、てっしー?高校卒業したらどうする?」

「なんやさ急に。将来とかの話?」

「うん」

「別に。普通にずっとこの町で暮らしていくんやと思うよ」


三葉の家では組紐を作っていた。

糸を巻く四葉と紐を組む三葉

「あーん、わたしもそっちがいいわ」


「四葉にはまだ早いわ。糸の声を聞いてみない。そやって糸を巻いとるとな、じきに人と糸との間に感情が流れ出すで」
祖母一葉の言葉

「糸はしゃべらんもん」

「集中しろってことやよ」と三葉

「わしらの組紐にはな、糸守千年の歴史が刻まれとる。ええか、遡ること二百年前・・」

「始まった」苦笑いの三葉

「ぞうり屋の山崎繭五郎の風呂場から火が出てこのへんはみんな丸焼けになってまった。お宮も古文書もみな焼け、これが俗にいう」


「繭五郎の大火」三葉

「えっ、名前ついとるの?繭五郎さんかわいそう・・・」四葉

「おかげで祭りの意味もわからんくなってまって、残ったのは形だけ。
 せやけど、文字は消えても 伝統は消しちゃいかん。
 それがわしら宮水神社の大切なお役目。
 せやのに、あのバカ息子は・・・
 神職を捨て、家を出た行くだけじゃ飽きたらんと政治とは・・・どもならん」



その頃、勅使河原家では町長と酒を酌み交わすてっしーの父が。

「社長、もう一杯」町長

「おっとっと」

「今回も社長にはお世話になるで」町長

「任しとってください。門入りと坂上あたりの票は間違いなぁですわ」


それを聞く息子のてっしー

「腐敗の匂いがするな」

「何言っとるの」と母

「おい、もう2、3本つけてくれ。克彦、週末は現場手伝え!ハッパ使うでな。勉強や」

「うん」

「返事は!」

「ああ!」


「たまらんな・・・お互い」

部屋に戻ったてっしーが見る先には、宮水神社の灯りが見えます。


その夜
宮水神社では儀式が執り行われていました。

社の舞台で踊る三葉と四葉
左右に上から下へと流れていく様の踊り
その踊りは、実は大きな意味があります・・・

「あれ、四葉ちゃんか。大きゅうなったなぁ」
「二人ともお母さん似のべっぴんさんやわ」

てっしーが抜け出して早耶香と会い、三葉と四葉を見ます。

「よう」てっしー

「よう」早耶香

「世界最古の酒なんやて 
 米を噛んで吐出して放置しとくだけで自然発酵してアルコールになるんやさ」てっしー
 
「口噛み酒。神様嬉しいんかなぁ。あんな酒もらって」

「そら、嬉しいやろ」強い口調のてっしー

三葉と四葉が米を噛み、それを升に吐きだす

その様子を三葉の同級生が見ていた

「おい見てみ。宮水や」
「うわっ、私絶対無理!」
「よく人前でやりよるよな」
「信じられんわ」

その言葉に一瞬ひるむ三葉

そして、升を組紐で結わく。


儀式の後

「お姉ちゃん元気だしないよ〜いいにん、学校の人に見られたくらい」

「思春期前のお子様は気楽でええよね」

「あ、そうや!いっそ口噛み酒をたくさん作ってさ、東京行きの資金にしたらどう?」

「あんたって、凄い発想するな・・・」


神社の階段を下りながら

「生写真とメイキング動画つけてさ
『巫女の区著噛み酒』って名前とか付けてさ!きっと売れるわ!」

思い浮かべる三葉
思わず赤くなり

「だめ!酒税法違反!」

「え・・・そういう問題なの?」と四葉

階段を駆け下り、鳥居の前に立つと大声で叫ぶ。

「もうこんな町いややー!こんな人生いややー!来世は東京のイケメン男子にしてくださーーーい!!」

こだまする三葉の叫び

「はぁ・・・あほな人やなぁ」四葉が呆れる

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

スマホのバイブレーションで目が覚めた三葉はスマホを探すうちベッドから落ちてしまいます。

「うううん・・・ううううん・・・痛っ!」

そして、目の前には見知らぬ部屋。
そして、男子の制服が。

「どこ?・・・ここ」

そして身体の違和感を感じた瀧は、のどぼとけを触り

「ん?」

自らの胸に手をあて、

「んんっ?」そこに膨らみがないのと同時に

「なんやある・・・」と股間に目を向け・・・触り、「ひゃぁああ!!」と両手を上げ、叫んでしまいます。


そう、瀧の身体には三葉が入り込んでいたのです。


洗面所の鏡を見て、そこに映る見知らぬ男子・・・呆然とします。
頬には絆創膏。

「イタッ!」

触れると痛みが。

「おーい、瀧、起きてるか?」と声。

ビクッとする三葉。

制服を着て食卓に行くと、父親に「今日はメシ当番だったろ?寝坊しやがって」

と言われ、「すいません」と謝ってしまいます。

「ん?俺は先に出るからな。味噌汁飲んじゃってくれ。遅刻でも学校はちゃんと行けよ。じゃあな」

父親はそう言って先に出て行ってしまいます。

「行ってらっしゃい」

変な夢・・・

その時、スマホがピロリンと鳴り、

「ひゃあ!」驚く三葉

『お前、まだ家か?走って来い!』

メールには「ツカサ」の文字

「ええー・・・なになにぃ?ツカサ・・・?誰ぇ・・・」

「あ・・・あぁ・・・トイレ行きたい・・・」


トイレに行く三葉。
用を済ますと大きくため息をつきます。

そして、学校へ行くために出かけます。
マンションのドアを閉め、「何〜この夢・・・リアルすぎ」と顔を赤らめる三葉。


そして、目の前に、朝日に照らされたビル群がひしめく景色を見た三葉は都会の景色に目を奪われてしまいます。
思わず髪の毛を触る。

そして、スマホで地図を確かめ、人ごみの中を歩み始めます。

「わあぁ・・・東京やぁーー!」とテンションが上がります。


知らない東京でなんとか学校へ着いたのは昼休み。
そっと、教室を覗き込む三葉に、後ろから友人の司に声をかけられます。

「たーき!」

「ひゃぁあああ!」

「まさか昼からとはね。メシ行こうぜ。」

「えぇー・・・」

「メール無視しやがって」

「ツカサ・・・くん?」

「クン付かよ。反省の表明?」

と揶揄されてしまいます。

屋上で友人高木、司と3人で食事をすることになりますが、遅刻したことに

「迷った??」

「うん・・・」

「お前さぁ、どうやったら通学で道を迷えんだよ」

などと高木には突っ込まれ、

「ああ・・・えっと・・・わたし・・・」と言うと

「「わたし?」」

と言われ、

「わたくし?」

「「んん?」」

「ぼく?」

「「はぁ?」」

「オレ?」と指さすと

うんうんと頷く友人2人。

「オレ、嬉しかったんやよ。なんか毎日がお祭りみたい。東京って」

そう言うと「なんか訛ってないか?」と言われ、

「えっ?」

「瀧、弁当は?」と司に言われて、「えぇっ!?」と驚きます。

「まったく・・・」

「寝ぼけてんのか?」高木

「なんかあるか?」司

「たまごコロッケサンドにしようぜ」高木

自分たちの弁当からあり合わせで即席のサンドイッチを作り渡します。

「あ、ありがとう」

高木は「にひぃい」と笑う。

「放課後、カフェ行かね?」高木

「ああ、例の。いいね。瀧は?」司

「え?えええっ!?カフェえええ〜!!?」

目がキラキラの三葉。


犬が2匹こちらを見つめて尻尾を振っている。
三葉は夢心地でそれを見る。

「天井の木組みがいいね」高木

「ああ、手がかかってんなぁ。たーき、決まった?」司

三葉はメニューのパンケーキの値段に驚いてしまう。

「ああ・・・ええっ!?こ、このパンケーキ代で、オレ1ヶ月は暮らせる・・・」

「いつの時代の人だよ、お前は」司

そして、カラフルなパンケーキを写メり食べながら

「うーん・・・まいっか。夢やし」


「「ん?」」

「はあーいい夢〜

「はぁ?」

そう思っているとバイブが鳴りメールが

「えぇっ?どうしよう、俺バイト遅刻だって!」

「お前のシフト今日か」

「早く行ったら?」

「あ、うん。あ・・・あのぉ〜、オレのバイト先ってどこやっけ?」

「「はあぁ??」」


そしてイタリアンの店で初のバイト。

「6番、7番、10番様オーダー待ちです」

「12番テーブル!瀧!」

「あ、はい!」

「お待たせいたしました」

「えっと・・・ズッキーニとトマトのサラダと・・・」

「頼んでませんけど」
「えっ!?」

「トリュフは品切れだって言ったろ!」

「瀧!声が小さい!」

「瀧ーーー!!」

あまりの忙しさ、そして怒られ

ああああぁ、この夢いつ覚めるんやさ〜〜〜


混雑も落ち着いたころ、

「ちょっとお兄さん」

「はい」

「ピザにさ、楊枝が入ってるんだけど。食っちゃったら危ないよね〜。俺気づいたからよかったけどさ、どうすんの?」

「あの・・・でも、イタリアンの厨房で楊枝が入るなんてことは・・」

「なんだと!?」

テーブルを蹴り上げ、語気を荒げる客

「お客さま、どうかなさいましたか?」

不意に女性が現れ、その女性が『ここはいいから』と言って三葉を下がらせます。
バイト仲間が三葉を奥へ引き入れ

「瀧!お前今日はおかしいぞ!」

すると、さっきの女性が

「お代は結構ですので」

「そう?」

「お怪我はありませんでしたか?」

そう言いながら客はカッターを手にします。
しかし、その女性も気づきません。

そして閉店後

掃除機をかけながら

「あの・・・奥寺さん」

「先輩、だろ?」と同僚に頭を小突かれ

「奥寺先輩・・・さっきは」


「今日は災難だったね。あいつら絶対言いがかりだよ。マニュアル通りタダにしてやったけどさ」

その時、別のバイト仲間が

「奥寺さん、そのスカート!」

「きゃ!!」

「大丈夫ですか?」

「おい、どうした?」

「やだっ・・・切られてるみたい。あいつら・・・」

「ひどいな・・・」

「顔とか覚えてますか?」

奥寺のスカートが切られていたのです。

それを見た三葉は、

「先輩、ちょっと」

奥寺を連れて奥の控室に連れて行きます。

「先輩、スカート脱いでください」

「ええっ!?」

「え!む、むこう向いてますから」

「えぇー?」

怪しむ奥寺を尻目に、奥寺のスカートを縫い、刺繍を施して仕上げます。

「すぐに済みますから・・・できました」

「瀧くんすごい!!前よりかわいい!」

三葉はにこっとします。

「今日は助けていただいてありがとうございました」

「本当はさ、今日心配だったんだ。瀧くん弱いくせにケンカっぱやいからさ。今日のキミの方がいいよ」

そう言って自分の頬を指さします。

あ・・・

「ありがとう。女子力高いんだね♪瀧くんって」


その帰り
電車の時刻表を確認しつつ窓に映る顔を見ながら

よくできた夢やなぁ・・・我ながら


そして、家に帰ってスマホを見ていると・・

「あ、この子日記つけとる・・・マメやなぁ」

司たちの写真や料理の写真をめくりながら

いいなぁ 東京生活

その中に奥寺の後ろ姿の写真を見つけ、

あ、あの人や!

何枚か隠し撮りのように撮られた奥寺先輩の写真

片想い、かな

ふふっと笑うと
日記を書いていく。

『・・・今日は奥寺先輩と駅まで一緒に帰りました。ぜんぶ私の女子力のおかげ!」


ふと、ノートに書かれていた言葉を思い出す


お前は誰だ?


そして、手のひらに『みつは』とペンで書く

あくびが出る

ふあぁ


・・・・・・・・・・・・・


翌朝アラームのバイブ音で目覚めた瀧

ふと、自分の手のひらを見て「みつは」と書かれているのを見て

「なんだ、これ??」

そして、着替えもせず制服のままで寝ていたことを知り、さらにスマホには覚えのない日記がつらつらと記されていた。

『・・・今日は奥寺先輩と駅まで一緒に帰りました。ぜんぶわたしの女子力のおかげ?』

「な、なんだこれ!?」


そして、学校で

「おい、瀧!今日は弁当持ってきたか?」

「ああ」

「迷子にならなかっただろうな」

「え?なんだそりゃ」

「ん?」

「いや、なんでもない」

「今日もカフェ行かね?」

「あーわりぃ。俺今日これからバイト」

「行き先は分かるのか?」

「はあ?・・・あ、司もしかしてお前か?俺の携帯勝手に・・・」

「あ?」

「ああ・・・やっぱいいや。じゃあな」


瀧が帰ると、

「あいつ、今日は普通だったな」司

「うん」高木

「昨日はなんか・・かわいかった」司

「えぇっ?」高木


そしてバイト先では

バイト仲間から詰め寄られる

「な、なんすか?」

「てめっ瀧、抜け駆けしやがって!」

「昨日お前たち一緒に帰っただろ!」

あの日記が蘇ります。

「え?ええ?まさかマジで!?奥寺先輩と!?」

「「「あれからどうなった!?」」」

「あの・・・よく覚えてないっすよ、俺」

「ふざけんなよこら!」

「奥寺、入りまーす!おっつかれさま〜」

奥寺ミキが入ってくる。

「「「「ちわっす」」」」

「あ、今日もよろしくね。ね、たーきくん?」

とウインク

「おい、瀧ーーーー!!」

詰め寄る仲間


・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ううーん」

目が覚めて大きく伸びをする三葉

腕には、みつは?お前は誰だ?の文字

「お姉ちゃん、今日はおっぱい触っとらんね。
 ご・は・ん!
 はよ来ない」

「おっぱい??」

顔を赤らめ思わず自分の体を抱きしめます。


登校して三葉が教室に入るとみなが一斉に三葉を見る。

「おはよー」

「「「おお・・・」」」

「な、なんか視線を感じるんやけど・・・」

席に着く三葉は早耶香に言う。

「うん、昨日のアレは目立ったもんなぁ」

「は?」


前の日の美術の授業中

「ポスター見た?町長選挙の」

「誰が上がっても同じやね」

「助成金をどう分配するだけやもんな」

「そのおかげで助かってる人もおるしな」

「あれってあたしの事だよね?」

「うん・・・」

「ちょっ、三葉!」早耶香

座ったまま、机をガンっと蹴とばす瀧

クラスのみんながハッとして瀧を見つめる。
瀧の目は挑戦的に睨みつける。


「な・・・な、なによ、それ?」


ノートをめくると、次々に書き込みがあり・・・

「はあぁ・・・?これってもしかして・・・」

瀧はスマホの書き込みを見て、

「はぁああ?これってもしかして本当に・・・」

「私、夢の中であの男の子と・・・」

「俺は、夢の中であの女と・・・」


「「入れ替わってるぅ!?」」


RADWIMPSの「前前前世」が流れます。
この後の話の展開とテンポがまさにぴったりとハマっています。


なにが起きているのか、だんだんわかってきた。瀧くんは東京に住む同い年の高校生で・・・

ど田舎暮らしの三葉との入れ替わりは不定期で、週に2、3度、不意に訪れる。トリガーは眠ること。原因は不明

入れ替わっていた時の記憶は、目覚めるとだんだん不鮮明になってしまう。

それでも、俺たちは確かに入れ替わっている。周囲の反応がそれを証明している。だから・・・

だから、わたし達はお互いの生活を守るためルールを決めた。
入れ替わった時の注意点や守るべき禁止事項


それから入れ替わった日の出来事を携帯に残すこと

この謎現象をとにかくも乗り越えるために、協力し合うこと。
それなのに・・・


それなのに・・・

あの女は・・・!!
あの男は・・・!!

バスケットボールでジャンプする三葉の胸が揺れ、見ている男子たちが驚きます。
片足を上げ、膝を横にして座る三葉。

男子の視線、スカート注意!人生の基本でしょ!?

人の金で無駄遣いすんな!

食べてるのはキミの体!わたしだってバイトしてるしぃ

組紐とかこれ無理だろ!

あなたバイト入れすぎ!

お前の無駄遣いのせいだろ!


今日は帰り道に奥寺先輩とお茶。キミたちの仲は順調だよ!

てめぇ三葉!俺の人間関係変えるなよ!

女子からラブレターを貰う瀧。
男子からも・・・

ちょっと瀧くん。なんで女子に告白されてんの!?

お前、俺に人生預けた方がモテんじゃね?

うぬぼれんといてよね。彼女いないくせに!

お前だっていねぇじゃねぇか!

私は・・・
俺は・・・

いないんじゃなくて作らないの!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ある日。
瀧は三葉の姿で目覚めます。
しかし、この入れ替えは必然だったのです。

あいつに悪いか・・・

そう言いながらもつい胸を揉んでしまう瀧(笑)

「お姉ちゃん、ホント自分のおっぱい好きやな」

「行くよ!はよ準備しい!」


制服に着替えた瀧は階下に降りて茶の間に入ります。

「お姉ちゃん、なんで制服着とるの?」

「え?」


四葉が言います。
「なんでうちのご神体はこんなに遠いの?」

「繭五郎のせいでわしにもわからん」

「繭五郎って?」

「え?有名やよ」

一葉、三葉、四葉の3人はこの日宮水神社のご神体に向かいます。

道が険しくなる途中、瀧は祖母に駆け寄り背負います。
しかし、体は三葉。一瞬よろけます。

「お姉ちゃん・・・」

それでもなんとか祖母をおぶさりながら道を進む。
瀧の額には大粒の汗。

「三葉、四葉、ムスビって知っとるか?」

瀧に背負われた一葉が話します。

「土地の氏神様を古い言葉でムスビって呼ぶんやさ。
 この言葉には深ーい意味がある。
 糸を繋げることもムスビ。
 人を繋げることもムスビ。
 時間が流れることもムスビ。
 全部神様の力や。わしらの作る組紐も神様の技、時間の流れそのものをあらわしとる
 よりあつまって形を作り捻じれて絡まって時には戻って途切れてまたつながって」


途中で三葉と四葉は茶を飲みます。

「ありがとう」

「次わたしも」

「うん」

「それもムスビ」

あ・・・

「水でも米でも酒でも
 人の体に入ったもんが魂と結びつくことも
 またムスビ
 だから今日のご奉納は神様と人間を繋ぐための
 大切なしきたりなんやよ」


そうして、辿りついた巨大なカルデラの中央に巨木と大岩のご神体がある。

「あれが・・・宮水神社のご神体・・・」


そのご神体のある地との境には小川が流れている。

「ここから先は隠り世。あの世のことやわ」

「此岸に戻るにはあんたらの一等大切なもんを引き換えにせにゃいかんよ
 
 口噛み酒やさ
 ご神体にお供えするんやさ
 それはあんたらの半分やからなぁ」


三葉の半分・・・

「もうかたわれ時やなぁ」

四葉の言葉を聞き返す瀧
「かたわれ時?」

わあぁ・・・

夕陽に染まる糸守湖
その眺めがあまりに美しくて・・・

「あ、そうや。彗星見えるかなぁ」と四葉

「彗星?」

「おや?三葉。
 あんた、今夢を見とるな」


一葉の言葉が瀧を捉えます。


ハッと目覚める瀧。
体が熱い。
鼓動が激しい。
そして・・・

涙・・・なんで・・・

その時スマホのバイブが鳴ります。

それは奥寺ミキからで

「もうすぐ着くよー
 今日はよろしくね?」

奥寺先輩!?なんのこと?・・・はっ!まさか、また三葉が・・・?

慌ててメモを開く瀧

デートぉ!?

『明日は奥寺先輩と東京デート!
 駅前10時半待ち合わせ



のはずやったのになぁ

三葉のまま目覚めた三葉
今日だけは入れ替わりを望んでいたのに。


瀧は走って息も切れ切れの中四ツ谷の駅前に着きます。

「たーきくん!ごめん、待った?」ミキが言います。

その大人びた姿に見とれる瀧

「はい・・・いえ、今来たとこす」

「よかった。じゃあいこっか」


いいなぁ
今頃二人は一緒かぁ


鏡台で髪を結いながらため息が出る・・・


あれ?
わたしなんで・・・


頬を伝う涙・・・


『わたしが行きたいデートだけど
 もし不本意にも瀧くんになっちゃったとしたら
 ありがたく楽しんでくること!



三葉が入れ替わっている時は女子同士(心は)ということもあってミキとは仲良くなっていくが、瀧自身はデートでどう話をしていいかもわからず・・・

トイレに駆け込んだ瀧

「会話がぜんっぜん続かねぇ・・・」


『とは言え、君はデートなんてしたことないでしょうから
 だから以下、奥手の君を助けるための厳選リンク集


「マジ?助かる」

しかし、三葉が用意していたリンク集があまりなもので・・・

『ダメな君にも彼女ができる』
『コミュ障害のワイが恋人をゲットした件』
『もうウザいと言われない、愛されメール特集』

「バカにしやがって・・・」

そんな中、立ち寄った美術館の写真展に心を惹かれます。
『郷愁』と題されたそこに、飛騨地方の写真が多数飾られていて・・・
神社や学校、そして糸守湖を俯瞰で写した写真に惹かれ、見つめる。

この景色・・・どこかで・・・

ミキには「瀧くんてさ、今日は別人みたいだね」と言われてしまい、「あの先輩、腹減りませんか?晩メシでも」そういう瀧に、ミキは「今日は解散しようか」と言われてしまいます。

「あ・・・はい」

「瀧くんって・・・違ってたらごめんね?」

「はい」

「キミは昔、わたしのことがちょっと好きだったでしょ。」

「ええっ!!」

「そして今は、別の好きな子がいるでしょ?」

「ええええ!!いませんよ・・・」

「ほんと?」

「いないっす。全然違います・・・」

そう言いながら顔を背けてしまう。

「ほんとかなぁ・・・」

顔を覗き込むミキ

「ま、いいや。今日はありがと。また、バイトでね」

結局夕食もしないままデートは終わりになります。

ふと、瀧は三葉に電話をかけます。


ここも一見つながっている場面ですが、時間軸が違います。


三葉の電話に着信があります。
しかし、それは同級生のてっしーでした。

「な〜んだ、てっしーか?ううん、なんとなくサボってまっただけ・・・元気やよ」

「今日夜は出てこれるんか?お祭りやろ?それに」

「え?お祭り?うーん・・・そっか・・・
彗星・・・今日が一番明るく見えるんやっけ。わかった。あとでね」



「あんたさぁ、三葉の浴衣期待しとるやろ」と早耶香

「しとらんわ。てか考えもせんかったわ」てっしー

「ふーん?」

「ああ・・・なんかあいつ声暗かったぜ?」

「あんたの電話が嫌やったんやろ?」

「お前なぁ!」

「お待たせ」

三葉が待ち合わせの場所に着くと、その姿に2人とも驚きます。

「「えっ!?」」

「ちょっと・・・どうしたの?三葉!」

「おまっ・・・か・・・か・・・」

「・・・髪がぁ!」

バッサリと髪を切った三葉

「やっぱ・・・変・・・かな?」

髪を触りながら照れる。


驚く2人と共にお祭りに向かう。

三葉の後ろから少し離れて歩く早耶香と勅使河原は・・・

「やっぱ男関係なんかな。失恋とか」

「男子ってすぐ恋愛に結びつけるなぁ。なんとなく切ったって言っとったに」

「なんとなくあんなん切らんやろ!」


その途中で、三葉は彗星が大きく光を放つ空を見上げて・・・

「なぁなぁ、見えるよ!」

「すんげー」

「わぁ!」

「あっ・・・」

三葉の瞳に一際大きく彗星が映り、彗星が割れて・・・


見えない朝目を探しつづけて



みなさん昨日はお騒がせしました〜


たくさんのアドバイスコメントありがとうございました


おかげさまで朝目が覚めたら指の痛みひきました ?



良かった、本当良かったよ〜


一時はどうなるかと、、

もう治らないかと思ったよ〜



みんなからのアドバイス通り、コーヒーの粉で洗ってみたり、サラダ油と石鹸で洗ったりしたんだけど、、結局どれが効いたのか追求はできなかったよ〜笑


でもみんなからのお助けで無事に無事に元どおり


本当ありがとう〜



みんなももし青唐辛子で手が痛くなったら、みんなからのコメントを参考にしてみてね?

あとは皮膚科に行くんだよ笑!



それにしても、しばらく青唐辛子は触らないようにしなきゃ、、


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