あ、この木は桜やったん…
いま、満開
ここに立って待ってくれてるような気がする場所
最後に別れた場所
一年前はとても家の中が暗かった
母の入退院でとても忙しく、あなたは良くならないまま
二年前は吐血して救急車に乗った
このところ、桜の季節はつらい思い出ばかり
春は好きやったのに
苦しい
なんでかなぁ
この木のところで、私が仕事が終わるのを待ってくれてる気がするのは
やっぱり、最後に別れた場所やから…?
立ち止まって、
車が来ないか見てしもたやん
あほやな
花が咲いて、やっと桜と気がついたよ
そこまでよく見てへんかったわ
今日も私が通るのを見てた?
ちょっとだけ残業やったやろ?
そっちからは見えてるんかな
それとも全然気にしてへんのかな
…私からは何も見えへん
ほんま
どうしたらいい?
つらいことばかり思い出して
こんなにも春が苦しい
不意にくる自責の思いは深い
とても許して欲しいとは言われへんけど、
もし許してくれたら
会いたい、って言ってもいい?
言ってもいいなら、この会いたい気持ちをどうしていいかわからへん
ほんまに
桜はかなしい
この、ぬるんだ風が苦しい
夜寝るときも
朝目覚めたときも
ほんまにおらへんのと思う
会いたいって思う
最後まで読んで頂いて
ありがとうございました