あれは5月のこと
レジに立っていたそのひとは
私の持って行ったトートバッグを一目見て言いました
「これは佐々木が作ったものですね」
なにを言われたのか呑み込めずぽかんとするだけの私でしたが
続きを聞いてさらに頭の中は真っ白になりました
「工房で最年長のメンバーで、未経験からスタートしたので、こういう簡単な縫製の製品を主に担当しているんですよ」
簡単?
最年長?
未経験?
あの?誰が何を作ったか見ただけでわかるんですか?
どこからツッコめばいいのか分からず(ツッコみませんでしたが)「はぁ…」と間抜けな返事をしてお会計を済ませたように思います
銀座のブラザー東京ショールームであった南三陸ミシン工房さんの実演展示販売会でのこと
レジにいらしたのは代表理事の熊谷さん
そして私が購入したのは佐々木洋子さんが作ってくださった「世界のトートバッグ」でした
うちの母と変わらないくらいのお歳だったんですね
可愛くてひとめぼれしたトートバッグ
南三陸ミシン工房さんの製品はどれをとっても手触りが良くて使いやすくて、何とも言えないぬくもりが手にした瞬間伝わってきます
小さい頃に近所のおばちゃんたちが次々と縫ってくれた幼稚園のおカバンに給食着入れ、上履き入れ、よそいきのワンピースやスカート
あの「世界に一つだけ」の私のためだけに作られた品々を思い出します
すみません
母娘ともどもお裁縫はからっきしなので
誰かが一生懸命作ってくれたものが
今わたしの心を満たしてくれる
有り難いです
ありがとうございます
お会いすることはできなかったけれど
これからもずっとたいせつに使います
どうか天国でいっぱいいっぱいほめてもらってください