「さと〜しくん!」
かなり大きな声で名前を呼ばれて
ドキッとして目が覚めた
「何?〜なんかあったか?」
ムクっと起き上がると
幸せそうな顔で寝てるお前
「むにゃ ・・・ 愛してる ・・・ むにゃむにゃ ・・・」
これは ・・・ ふっ ・・・ 盛大な寝言だ事で(笑)
「それは知ってる(笑)」
って、答えると嬉しそうに笑って向きを変えた
昨日もほとんど眠れてないはず
少しゆっくり寝かせとくか
ベッドからそっと抜け出して
リビングに向かった
朝から降り続いてた雨がやみ
灰色に青色が混ざった感じの
シルバーブルーの空が広がっていく
ベランダの手すりの水滴に光が当たって
キラキラと輝いて、風に揺れてる
水滴のダンスか ・・・
綺麗だな ・・・ 雨上がりにしか見れない
大きく伸びをして
「さて、夕飯どうしようかな?」
って独り言をつぶやいた
冷蔵庫の中身を確認するが
有るのは飲み物だけ
昨日はスーパーに寄ってる時間すら無かった
アイツが帰る時間に間に合うように
戻って来るのがやっとだったから
買い出しに行かないとダメだな
起こすべきか、寝かせて置くべきか悩み所
メモ置いて行っても大騒ぎするだろうな
テーブルの上に置いてある携帯が
ブルブルと音を立てて震えてる
急いで携帯を手に取ると
相手は綾野君だった
「大野さん、綾野です」
「おお、久し振り」
「引っ越しの荷物は片付きましたか?」
「連休だったから、すぐに片付いた
それに荷物も少ないから」
「宜しかったら、夕飯ご一緒しませんか?」
「え?今こっちに来てんの?」
「ええ、出来るだけ改装しないで
オープンしたいんですが
そうなると色々大変で
少し時間が掛かりそうです」
「大変だな ・・・ でも、妥協しなくても良いんじゃない
お前の店だし」
「ええ、妥協はしません
憩いの場所にする為に、頑張りますよ」
「晩飯かぁ ・・・ 俺一人じゃないけど」
「櫻井さんが見えてるんですか?」
「ああ、今朝早くにこっちに来た」
「丁度いいです、4人で食事しましょう」
「4人?」
「旬も一緒なんです」
4人で食事 ・・・ アイツがウンと言うか
勝手に決めると怒るよなぁ ・・・
「翔君、昼寝してるから
起きて来たら聞いてみる
折り返し電話するでいい?」
「構いません、電話待ってますから」
「了解!じゃ後で」
電話を切って
ソファーに座って考える
嫌がるだろうなぁ ・・・ 小栗君ねぇ ・・・
起きて来たら聞くとして
買い物には行かないと
「智君! ・・・ 智君! ・・・」
大きな声に続いて
ドアを閉める音と廊下を走る音
「もう ・・・ 起きる時は声掛けてよ!」
膨れっ面の翔君が駆けこんできた
「すんげぇ、気持ち良さそうに寝てたから
起こさなかったのに ・・・
俺の愛が伝わってないってこと」
「そうじゃないけど
起きた時一人なのは淋しいの
一緒いるんだから ・・・ 全部一緒が良い!」
また我儘な事を ・・・
「無理に起こす必要はないの
今朝のお前だってそうだろ?
お互い持ちつ持たれつだよ
それより夕食の誘いが有った
どうする?」
「夕食の誘いって誰から?」
怪訝な顔のお前が、俺を抱き寄せる
「綾野君が小栗君を入れて4人で飯を食いませんかって」
全く考える余地がないのか即答
「食いません」
ここまで迷いがないと
ある意味気持ちいいよ(笑)
「じゃあ、断るよ
今からスーパーに行くけど
それはどうする?」
「当然一緒に行く」
これも間髪入れずの返答
「じゃあ、着替えて来て
部屋着では出かけらんないだろ?」
「うん ・・・ そうする
その前に ・・・」
そう言ってニヤリと笑う
言いたい事は分かるkissしてだろ
「なに?」
「またまた、分かってるでしょ?」
分かってるけど(笑)
少しは我慢しろ!
「分かんねぇ ・・・
早く着替えて来いって
もしかしたら虹が出てるかも
虹を探して散歩ついでに買い物しよう
綾野君には断りの電話は入れとく」
商店街をブラブラ歩くのも楽しいだろ
グイッと肩を抱き寄せられて
唇を塞がれた
どっちみちkissするなら聞くな(笑)
「着替えてくるね」
満足げな顔で部屋を出て行った
なあ、どこに居ても探してくれる?
<続きます>