ミニロト カードの切り方が人生だ。

《ちょっと話が長くなりますが…………もしもよろしければお付き合い下さいませ》

先週の土曜日の話

家の水道が地中のどこかで漏れているので水道屋さんに診てもらうのに立ち会う為に仕事を休んだ

漏れている箇所さえ発見すればそこを治せば直ぐに終わるのだが、見つけるまでどれだけ庭を掘り起こすか

そこが経験値と腕の見せ所

カミさんの実家が建築関係で、その繋がりで昔から実家や店の水周りはその水道屋さんに来てもらっているらしい

とても無口な職人さんで「おはようございます」と「終わりました」しか言わない人だと

何十年も世話になってるけどそれ以外の話をしたことがない、と

8時半に来るというのでそれまで暇つぶしにガレージで遊んでいた

8時15分ほどにそれ風の1.5tがガレージの前に停まった

「おはようございます。よろしくお願いいたします」

「おはようございます。こちらこそよろしくお願いいたします」

当たり前の挨拶をしながらも俺より10歳ちょっとばかり歳上の水道屋さんの目はチラチラと俺の900Rを

道具を運びだしながらもガレージの中をチラチラと

その度に俺に会釈して、なんて礼儀正しく腰の低いお方だろう

10分ほどで「ここが漏れてました」(早っ！さすが腕利き！)

「ありがとうございます！早いですねー！じゃ、一服してから修理お願いしますよ〜♪」

缶コーヒーを差し出した

「家の中にお通ししましょうか？」

「いえ、ここがいいです」とガレージで一服

水道屋さんは遠目に遠慮がちに、しかし熱い視線で900Rを見つめてる

この感じ、あえてバイクの話をしない感じ、経験上こういう人はホンモノだったりする

いきなりぐちゃぐちゃバイク話するタイプはだいたいが社交辞令でたいしたことはない

もしかして？

俺も口数の多いタイプではないし、畑は違えど職人仕事でなんか同じ色に感じた

「もしかしてお好きですか？」

「はいっ！若いとき独立、結婚し子供もできて忙しくなり手離してしまいましたが……今でも後悔しています。ちょうどこのニンジャが出た頃です」と

そこから水道屋さんは機関銃のように喋りだした

青ラインの1100カタナ(83年のSDかな？)

売るときは必ず自分に売り戻せと約束し、泣く泣く手離したいきさつ

19インチの優位性、250SSからCB750K、ランチャ・デルタ、ベレG、アルファの段付き

昔の西湘の話とかキャブじゃなきゃとか最後に乗らせてもらったダチの油冷750は乗り易すぎてドキドキしなかった、とか、キリンかよ！(≧▽≦)読んだ事は無いってさ

コアな話がてんこ盛り！

やっぱりこの人ホンモノだった！！(≧▽≦)ちょい歳上にはこの手の熱い人が多い

その他いろんなお話を3時間以上(笑)何しに来たんだ？(笑)

ぜんぜん無口じゃないじゃんか！(≧▽≦)

腕利きなんだから30分もあれば終わった仕事なのにもう昼だよ

昼飯の月見バーガーセットが二人分届いた

「家の中で食べます？」

「ここがいいです」

(≧▽≦)

「またがってみますか？」

「えっ！！？いいんですか？(///ω///)♪」

このまたがることを遠慮するのはホンモノならではの証

「特別ですよぉ〜(^o^)」

「エンジン掛けましょうか？」

狭いガレージのコンクリにKERKERがこだまする

「??(*´ー｀*)｡･ﾟ･(ﾉ∀`)･ﾟ･｡??(*´ー｀*)??(*´ー｀*)｡･ﾟ･(ﾉ∀`)･ﾟ･｡??(*´ー｀*)｡･ﾟ･(ﾉ∀`)･ﾟ･｡??」

何も言わないけど、水道屋さんの熱い想いがこっちまで伝わってきて胸が熱くなり泣きそうになった(笑)

この瞬間、時が止まりましたわ｡･(つд`｡)･｡

端から見りゃ作業着の汚いオヤジ二人組が狭いガレージで月見バーガー頬張り、泣きそうに何してんだべ？と映るでしょうw

聞けば酒も賭け事もやらない仕事一筋タイプらしい

タバコだけは一緒にパカパカといわゆるチェーンスモーカー

名刺を渡されて初めてお名前も伺って

自分も基本的に名刺の必要ない職人なので休日は持ち歩いていないが、財布の中にボロボロのが一枚あったのでそれを(笑)

「リスクの有ることだからもちろんオススメはしません…………だけど…………歩ってても事故に合う人もいますしw仕事の励みにもなるし、男の子には自己責任で一つくらいおもちゃがあってもいいのではないか……なんて」

「カタナ、今は大金はたけばフルレストアのも買えますよ」

「…………………………」

沈黙の後

「……ニンジャが欲しいです、またがって分かりました！探す時にいけさん相談にのってもらえませんか？」

「(； Д)ﾟ ﾟカタナじゃなくて？(； Д)ﾟ ﾟ」

「カタナも欲しいですけど、ポジション的にこれならこの歳でもイケそうだし！材料置場空ければ置くとこも」

この人マジかっ！？(； Д)ﾟ ﾟもう買う気だ！

「900Rね、懐が深くていろんな付き合い方出来ますし、ワタシはただ好きで下駄にしていたら周りがどんどん凄く速くなって自分と一緒に歳食っちゃっただけで今でもこれで毎日楽しいですよ♪周りと比べずに普通の人が自分の技量と立場を分かった上で普通にすっ飛ばす分には充分な加速ですよ！速さ以外のトータルな楽しみのバランスなら多分カタナニンジャあたりが今でも第一線じゃないですかね♪なんたって壊れないし触りやすいから壊れてもある程度は自分でなんとかなっちゃうし♪」

この人には今さらこんな説明は不要だった^-^;

「ワタシ、ミニロト当たったら広島のスペックエンジニアリングさんのSTDシリーズいきまーす！これ、イッちゃうのはどうですか？w」

「そしたらいけさんのニンジャ売ってください！」(≧▽≦)

結婚する時にバイクはもう乗らないと約束させられたらしい(≧▽≦)

一番難しい問題があったのね

もちろん奥様はこんな記事見てないだろうけど…………もちろん人の家庭の考え方に土足であがるような事はしないけど…………

こんなにも優しく寡黙で真面目な旦那様、子供達もそれぞれ独立なさって何不自由無い暮らし

キチンと奥様の言いつけを守り、今までずっと頑張ってきた素敵な旦那様

あと10年？いや、もう少し乗れるか？そろそろ旦那様にお許しは不可能な事ではないのではないでしょうか？

何も新車の外車が欲しいって言ってる訳じゃないですもん^-^;ある意味外車よりヤバイか？(；＾o＾)

一生が終わるとき、「あ〜楽しい人生だった♪」と笑って死んでいきたいですもん

っていうのは男の子にしか分からないワガママなんでしょうかね？^-^;

近い日曜日、探しに行くお誘いがあることを俺まで楽しみになってます♪

帰り際に水道屋さんがおっしゃった言葉が頭から離れない

「あ〜あ、とんでもないところに仕事に来ちゃったよ♪」だって(笑)